社会人が税理士試験に働きながら挑戦するのって無理ゲー?
↑結論から言うと、決して無理な目標設定ではないと思います。
実際、ほとんどの税理士有資格者は働きながら勉強して合格した人たちですよ。
会計事務所(税理士事務所)で社会人として仕事をしながら科目合格をコツコツ積み重ねていき、3〜5年ぐらいかけて5科目合格を果たす人が多いですね。
ただし、働きながら税理士を目指す場合は「職場選び」がとっても重要。
「勤務先の会計事務所選び」でミスると税理士試験は一気に無理ゲーになってしまうのです。
この点だけはくれぐれも注意してください。
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職場選びに失敗すると「税理士試験に働きながら合格」は無理ゲー化する
大前提として、税理士受験生が職場として選ぶべきは会計事務所です。
(税理士事務所・税理士法人でも同じです)
別の税理士が開業している事務所で修行しながら、科目合格をコツコツ積み重ねていきましょう。
会計事務所は基本的に、税理士受験生大歓迎の職場なので、働きながらでも資格スクールに通いやすい環境が整っています。
また、会計事務所では税理士としての実務経験を積むことができます。
(無資格者や科目合格者が会計事務所で働く場合、「税理士補助」という扱いになりますが、
実際の仕事内容は資格を持った税理士とまったく同じです)
税理士登録に必要な「2年間の実務経験」を無理なく積むことができますよ。
税理士受験生歓迎!の会計事務所で働くべし
その上で、「どういう会計事務所を職場として選ぶか?」が決定的に重要になります。
職員スタッフの税理士試験挑戦を応援するスタンスを明確にしている事務所を職場として選ばないといけません。
(↓実際の求人をいくつか紹介すると、例えばこちら)
ひとくちに会計事務所といってもいろいろです。
上の例のように職員の勉強を応援するスタンスの事務所もあれば、
職員のキャリアなんてどうでもよくて、搾取的な労働をさせることしか考えていないブラック事務所も存在しています。
こういうブラック事務所に入ってしまうと働きながら税理士試験合格なんてまず無理なので注意してください。
(まさしく無理ゲーです)
働きながら合格を目指す社会人は、必ず職員スタッフの税理士試験挑戦を応援してくれる環境のある会計事務所を職場として選んでください。
ここに失敗するとほぼ100%の確率で挫折することになるので、くれぐれも注意しておきましょう。
職場が勉強時間を確保させてくれるか?で結果は180度違う
職場として選んだ会計事務所が、勉強時間を確保させてくれるかどうか?は、
税理士試験に挑む社会人にとって非常に重要な要素です。
税理士試験は資格スクールに通うのが必須の試験ですが、
就業後に資格スクールに行くというと、そのたびに嫌な顔をされる…みたいな職場では、まともに試験勉強に取り組むことができません。
例えば、勤務時間中に勉強時間を確保できる制度や、
試験前に長期休暇を取得できる制度がある職場は、試験対策に非常に有利です。
残業が少ない職場やリモートワークが可能な事務所も、勉強時間を確保しやすい環境といえるでしょう。
こうした職場環境が整っていると、働きながらでも効率的に勉強を進めることができ、合格への道が開けてきます。
一方で、職場の理解が得られず、勉強時間が確保できない場合は、試験合格が遠のく可能性があります。
そのため、職場選びの際には、資格取得支援の制度や働き方の柔軟性についても確認することが大切です。
試験勉強と税理士実務をリンクさせて学ぶべし
試験勉強と税理士実務をリンクさせることは、働きながら税理士を目指す上で非常に有効です。
例えば、法人税法は税法科目として最難関ですが、
仕事で実際に法人税の申告書を書いたことがある人と、テキストでしか学んだことがない人とでは、
法人税法の理解の深さに大きな差が出るのは当然です。
逆に、試験勉強で学んだ理論が、実務に役立つ場面も多々あります。
こうした相乗効果を狙うことで、効率的な学習が実現できるでしょう。
試験勉強と実務をリンクさせることで、単なる知識の詰め込みではなく、実践的なスキルを身につけることができます。
5年経って科目合格ゼロ…とかなら撤退も検討すべき
社会人として働きながら税理士試験合格を目指す場合、「撤退ライン」を決めておくことはとても重要です。
税理士試験って受からない人は本当に受かりません。
「10年も20年もずっと勉強している」みたいな人って、この業界には普通にいますからね…。
例えば、5年勉強して科目合格がゼロなどの状況では、少なくとも試験向きのタイプでないことは明らかです。
(早い人なら、働きながらでも2年〜3年で5科目合格する人はいます)
なお、税理士というキャリアはひとつの選択肢に過ぎませんし、
勉強が苦手か得意か?は個性の一つに過ぎません。
学生ではないのですから、ぶっちゃけ勉強なんてできなくても社会人として成功することは可能です。
自分は税理士試験に向いていないことがわかった時点で、撤退も視野に入れた方が良いです。
また、会計事務所で働きながら税理士試験に挑戦した経験が、キャリアアップにおいて大きなメリットをもたらすことは事実です。
実は私自身もこのキャリアパスを選んだ人間なのですが、
会計事務所で税理士試験の勉強をしながら実務を学んだ経験を生かして、
一般企業の経理管理職に転職したり、無資格職員として所長税理士の右腕を目指したりといったキャリアも描けます。
自分の向き不向きを客観的に分析し、自分が一番力を発揮できるキャリアを選ぶことが大切です。
スキマ時間のすべてと土日祝日のすべてを勉強に捧げよ
本気で社会人として働きながら税理士試験合格を目指すなら、
平日のスキマ時間や通勤時間、終業後の時間、そして土日祝日のすべての時間を試験勉強に捧げるぐらいの気持ちが必要です。
起きている時間はすべて仕事か勉強をしている…ぐらいの勢いでないと、働きながらの税理士試験合格は無理です。
スキマ時間を最大限に活用し、土日も勉強に費やしましょう。
日々の通勤時間や昼休みなどの短い時間を有効に使うことが重要です。
例えば、通勤電車でスマートフォンやタブレットで過去問を解いたり、音声教材を聞いたりすることで、移動中でも学習を進めることができます。
また、土日はまとまった勉強時間を確保できるチャンスです。
平日にはできない長時間の集中勉強を行いましょう(1日に10時間以上勉強するのは必須です)
独学で合格するのは天才だけ(資格スクール通いは必須)
独学で税理士試験に合格するのは、非常に困難な道です。
多くの受験生が資格スクールを利用しているのは、効率的な学習方法を身につけるためです。
働きながら試験に挑む場合、時間の制約が大きく、限られた時間を有効に使うことが求められます。
スクールでは、専門的な講師による指導や、最新の試験傾向を反映した教材を提供しており、独学では得られない貴重な情報を得ることができます。
また、スクールに通うことで、モチベーションを維持しやすく、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨する環境が整っています。
資格スクールを活用することで、独学では難しい合格への近道を見つけることができるでしょう。
大学院修士課程修了による科目免除制度も検討しよう
大学院修士課程修了による科目免除制度は、働きながら税理士試験を目指す方にとって、有力な選択肢の一つです。
大学院に2年間通って修士課程を修了すれば、税理士試験の試験科目が一部免除されます。
税理士試験は「会計2科目+税法3科目=合計5科目」の合格が必要ですが、
例えば税法免除を受ければ、「会計2科目+税法1科目+税法免除2科目=合計5科目」などのかたちをとることができます。
(この場合、試験受験で合格する必要があるのは3科目ということになります)
もちろん、働きながら大学院修士課程を修了するのは大変ですしお金もかかりますが、夜間コースなども充実しています。
また、大学院ではその分野を専門的に研究している教授人から、実務も見すえた指導を受けることができるのも魅力ですね。
働きながら合格を目指せる職場(会計事務所)の特徴
ここでは、働きながら無理なく合格を目指せる会計事務所の探し方を解説します。
↓具体的には以下のような特徴のある事務所の求人を狙うと良いでしょう。
- 試験直前の長期休暇制度がある事務所
- 法人顧客メインで繁忙期(確定申告時期)の残業が少ない事務所
- リモートワーク積極推進の事務所
- 科目合格者や有資格者の割合が高い事務所
- 薄利多売型(激安顧問料)の事務所は避ける
1. 試験直前の長期休暇制度ある事務所
>>税理士受験生歓迎!長期休暇制度がある会計事務所求人を見てみる
税理士試験は8月ですが、この直前期に長期休暇を取得できる会計事務所を選びましょう。
試験直前1〜2ヶ月の時期に集中的な学習ができるかどうか?は合格を分けることが多いです。
長期休暇制度を持つ職場は、社員の成長を支援する姿勢があるため、他の福利厚生も充実していることが多いです。
2. 法人顧客メインで繁忙期(確定申告時期)の残業が少ない事務所
法人顧客をメインとしている会計事務所を職場として選ぶのも、税理士受験生にとって有効な戦略と言えます。
法人顧客がメインの事務所は、繁忙期も残業が少ない(あるいはそもそも繁忙期がない)傾向があり、試験勉強との両立がしやすいためです。
(↓例えば、こういった事務所の求人があります)
会計事務所は、個人顧客の確定申告作業を行う2月〜3月が繁忙期になります。
個人顧客(個人事業主の人たち)は、すべて2月16日〜3月15日の間に税務申告を行うことが法律ルールとして決まっています。
そのため、個人事業主顧客の多い会計事務所の場合、この時期には業務が集中することになるのです。
逆に言えば、顧客層が個人顧客以外(法人顧客)メインの会計事務所の場合、2月〜3月でもそれほど繁忙ではないケースが多いです。
法人顧客の決算は「決算日から2ヶ月以内」というのがルールです。
例えば、5月末が決算日の会社なら、7月末までに決算と税務申告を完了するわけですね。
法人の決算日は会社によって完全にバラバラなので、
法人顧客メインの会計事務所は1年間を通して業務量のピークが分散されるされる傾向があります。
法人顧客をメインに扱う税理士事務所は、確定申告時期においても異常な激務に陥ることが少ないというわけです。
あと、法人顧客を対象にすることで、実務経験を通じて試験科目と関連する知識を深めることができ、難関である法人税法の試験対策に役立つことも大切ですね。
3. リモートワーク積極推進の事務所
↓リモートワークを積極的に推進する会計事務所は、残業が少ない傾向があります。
コロナ禍後は職員のリモート勤務を取り入れる事務所は爆発的に増えた印象ですね。
これは、働きながら税理士試験を目指す受験生にとって大きなメリットになるでしょう。
在宅勤務が可能であれば通勤時間を削減し、勉強時間を確保しやすくなります。
また、オンラインでの業務が増えることで、時間管理や自己管理のスキルも向上するでしょう。
リモートワークを導入している事務所は、時代の変化に柔軟に対応する姿勢を持っていることも重要ですね。
税理士を目指す方にとって、このような職場選びは重要なポイントとなるでしょう。
4. 科目合格者や有資格者の割合が高い事務所
>>有資格者・科目合格者が毎年続出する会計事務所求人を見てみる
働きながら税理士試験合格を目指す人は、科目合格者や有資格者の割合が高い職場を選ぶことが重要です。
このような職場では、既に資格を取得した同僚から実務に直結する知識を学べるだけでなく、
試験対策についてのアドバイスを受ける機会も多く、合格への近道となります。
また、同じ目標を持つ仲間がいることで、互いに励まし合いながらモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
5. 薄利多売型(激安顧問料)の事務所は避ける
転職活動をする際には、応募する会計事務所のホームページなどをよく確認しましょう。
顧問料が激安であることをアピールしている「薄利多売型」の会計事務所は、そこで働く職員スタッフが非常に忙しいことが多いです。
クライアント一件あたりの単価が低い分、たくさんの顧客数をさばくことで利益を出しているためです。
必然的に、1人の職員スタッフが担当する顧客数が多くなり、勉強との両立はかなり難しくなるでしょう。
また、激安事務所には個人事業主顧客に利用されるケースが多いですから、
確定申告時期(2月〜3月)に業務量が集中してしまうのも問題です。
税理士試験を目指すなら、顧客一件あたりの顧問料を高めに設定されていて、法人顧客の割合が高い会計事務所を職場として選びましょう。
こうした事務所では、職員一人当たりの担当顧客が少なくともしっかりと利益を出すことができます。
また、高めの顧問料を設定できているということは、付加価値の高いサービスを提供できているという意味でもあります。
こうした事務所では、質の高い税理士業務を学ぶことができるでしょうから、将来的な税理士としてのキャリアを築いていく上でもプラスになるのは間違いありません。
まとめ
今回は、働きながら税理士試験に合格を目指す社会人の方向けに、短期間で5科目合格を実現するためのポイントを解説しました。
社会人が試験に合格するには、勉強時間を十分に確保できる会計事務所を職場として選ぶことが重要です。
くりかえしになりますが、ここでミスをすると社会人の税理士試験挑戦は一気に無理ゲーになります。
- 職員の勉強応援を明確にスタンとして抱いており、
- 有資格者や科目合格者の割合が高いことをアピールしているか?
- 休暇制度やリモート勤務など、働き方の柔軟性があるか?
- 顧客層が法人メインか?顧問料は高めに設定できているか?
↑などなど、試験勉強との両立がしやすい会計事務所はいくつか特徴があるものです。
良い職場を見つけられるか?は税理士試験の合否に直結しますので、慎重に判断するようにしましょう。